寄稿文目次

語ろう! わたしのことばで

2007年6月 語り手たちの会
語り手たちの会創立三十周年の節目の年を「祝祭年間2007」とし、表題のキャッチフレーズを運営委員全員で考えました。でもわたしの心の中では、もっともっと長〜い惹句がピチピチと跳びはねています。
        語ろう あなたの声で
        あなたのことばで あなたのスタイルで
        語ろう あなたの生きざまをこめて

「あなたのその声だけは聞きたくない、と言っている人もいるのよ」と、ご忠告をいただきました。青天の霹靂でした。頭痛、胃痛が続き、自信も揺らぎ、大人の前で語るのが怖くてたまらなくなりました。そんなある日、「桜語り」がありました。聞き上手の聞き手は、わたしの鬱屈した思いなど吹き飛ばしてくれました。涙をふきながら笑い転げている人もいます。そこには語り手、聞き手で創りだす協同の空間がありました。わたしはあたたかい思いに充たされ、語り手として再生しました。

そのとき、思ったのです。百人の聴衆がいたとして、全員がその声にしびれ、その語りに酔ったとしたら、それはむしろ宗教に近いのではないのかしら?と。わたしの声を嫌う人がいたとしても、好いてくださる人もいる。いろいろな人がいて、様々な感想を抱いて当然です。百人の語り手が、自身の生きざまをかけて百様の語りをするように、百人の聞き手も自身の人生と重ね合わせて、百様の聞き方をするにちがいありません。

だからあなたも立ち止まらないで。この世にたったひとつのあなたの声で、自信を持って、この世でたったひとつのあなたの語りを、わたしたちに分けてください。
語り手たちの会 「祝祭年間2007」総合プロデユーサー すえよしまさこ)
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